アメリカの企業家が学ぶ「世界最強のプレゼン術」

1.パワー・プレゼンターへの道
2.プレゼンテーションでIPOの価値が決まる
3.身ぶりは言葉より語る
4.聞き手に感情移入してもらうには
5.なぜ緊張してしまうのか
6.ストーリーを7つのステップで準備する
7.あなたもパワー・プレゼンターになれる カリスマ性はいらない
8.プレゼンテーションを心理的にコントロールする 緊張をほぐそう
9.ボディランゲージの活用法
10.話のリズムをコントロールする
11.名プレゼンターのテクニック「バラク・オバマから学ぶ 他


 この本を手にする誰もが、「アメリカ人もプレゼンテーションやスピーチの時には緊張するのか!」と驚くのではないだろうか。私たち日本人は、「一を聞いて十を知る」「言外の意味をくみ取る」文化に生きている。相手の言うことを聞くのはとても上手だが、いざ自分が話すとなると、尻ごみする気持ちになる。それは自分たちだけのことだと思っていたのに、アメリカ人にも似たところがあったとは!
 本書では、プレゼンテーションやスピーチは「誰かとふだんの会話をするように」行えばいいと教える。シャイな日本人にも、それならできると自信を持たせてくれる。誠意を持って相手を見、時には身ぶりを交えて話を伝える。確かに、自分も親しい人との会話ではそうしている。プレゼンテーションやスピーチを行う時にも、その通りにすればいいのだ。
 なんだ簡単なことだ、と思うのは早計だ。著者は説く。とにかく、練習、練習、練習あるのみだ。スピーチのうまさが高く評価されているバラク・オバマ大統領もそう言っている。オバマ大統領が手本にしていると著者が分析する、グレート・コミュニケーターロナルド・レーガン元大統領も、テレビ番組の名作劇場の司会という長い練習期間を経てその才能を花開かせた。

 好印象を与えれば、どんなコミュニケーションもうまくいく。そのための極意を、二〇年以上にわたる経験から伝えたい。大勢の前に立つ「決定的瞬間」で頭が真っ白になっても大丈夫、誰もがそうなのだから。それがなぜ起こるのかを理解し、どう対処すべきかを簡潔にわかりやすく説明した。さあ一緒に身につけよう・・・。著者のメッセージから感じられるのは、すべての人に対する温かい視線だ。あなたが大統領候補であってもなくても、IPOを控えた企業経営者であろうとなかろうと、ビジネスマンであってもなくても、人は皆同じ反応をするのだと著者は優しく言う。本書をお読みになる方には、その温かい視線を、十分に感じていただきたい。
  本書が提供するのは、プレゼンテーションを行うためのテクニックだけではない。歴代米国大統領や歴史上の著名人のスピーチの事例が豊富で、その歴史的背景や解釈についても、多くの知識と教養が得られる構成になっている。歴史的なプレゼンテーションや、ダメなプレゼンテーションを例にして、日本の人たちのコミュニケーションを、より好印象を招くものにするお手伝いがしたいと願っている。(福山紫乃
アメリカの企業家が学ぶ「世界最強のプレゼン術」