世界的に評価されている日本の文学は、マンガばかりではありません。
海外でよく書評がついていて人気の、日本作家の作品をご紹介します。


村上春樹の作品】


ノルウェイの森」は40ヶ国語に翻訳され、「アンダーグラウンド」の英訳本は
3ヶ月で10万部を突破し、英国のサンデータイムスは去年(2008年7月20日付)、
村上春樹を今や世界で一番成功し影響力のあるカルト作家だと紹介しました。

記事では、ドイツでは作品の暴力描写を理由に、文学賞の審査員が選考会を
辞任したり、日本でも三島や川端、谷崎といった格式高い作品を好む層から、
軽薄で西洋化されすぎていると批判されている、賛否両論がある作家だと
分析されています。

村上春樹の作品は (IQ84はまだですが) エッセイ集も含め殆どが英訳されて
います。ちなみに現時点で米国アマゾンでレビューが一番多くついているのは、
ねじまき鳥クロニクル=The Wind-Up Bird Chronicle」です。

細雪 谷崎潤一郎

英訳本のタイトルは、マキオカ・シスターズといいます。表紙は昭和レトロな
感じで、細雪の繊細で美しいイメージよりは昔の少女小説のようですが、
谷崎潤一郎が描く昭和初期の豊かな情緒や生活は読者にきちんと伝わっているようです。

日本では結婚問題が女性に大きくのしかかるということは、外国人にもよく知られていますが、
三女が結婚しないため四女もお嫁に行けないという設定は、だいぶ驚かれるようです。


個人的な体験 大江健三郎

吾輩は猫である 夏目漱石

日本を代表する作家の作品として読まれている本と言えば、この2冊でしょうか。

個人的な体験=A Personal Matter」はノーベル文学賞受賞作品ということもあり、広く知られています。
吾輩は猫である」の英訳本のタイトルは、そのままアイ・アム・ア・キャットです。
猫が語るという設定は、国が変わっても、時代が進んでも、変わらずユニークで新鮮との評価です。


博士の愛した数式 小川洋子

米国アマゾンで、人気の村上作品に次ぐレビューがついているのが、この作品です。
女流作家の優しい作品が外国でも受け入れられているとは、嬉しくなりますね。


極道(ヤクザ)な月 天藤湘子
本人の背中一面の入れ墨の写真が表紙になった、極道の娘として生まれた著者の私小説です。
日本でも10万部売れたそうですが、10カ国以上の言語に翻訳されています。
海外でのジャパニーズ・マフィアへの興味の高さがうかがえます。


花埋み 渡辺淳一
日本人ビジネスマンが夢中になって読む不倫小説が、英訳されて人気なのかと思ったら、
これは違いました。日本で最初の女医となった荻野吟子の生涯を描いた1970年の作品です。
明治時代の女性が、偏見や障害と闘いながらいかに苦労して医学を身に付けたかが描かれています。